インフルエンザ予防には、手洗い、うがい、『歯みがき』を!

定期検診

例年12月~3月頃に流行するインフルエンザ、今年も今月がピークになるとニュースになっています。歯科の分野からも、効果的な予防法があります。それは、「歯みがき」をすることです。口の中にある細菌、特に「歯周病菌」はインフルエンザウイルスの感染力を高めることが分かっています。

■感染のメカニズム
一般的に風邪は細菌かウイルスのどちらかが原因で発症しますが、メカニズムが異なります。細菌は粘膜に付着するだけで、炎症を起こし、のどが痛くなったり、熱が出たりします。一方、ウイルスは粘膜に付着しただけでは発症しません。細胞の中へ入り込むことで感染します。
インフルエンザウイルスの表面には「ヘマグルチニン(HA)」と「ノイラミニダーゼ(NA)」という2つの酵素があります。口からインフルエンザウイルスが入ると、HAがのどなどの粘膜の細胞にあるシアル酸にくっついて細胞内へ入り込み感染します。そして、2つ目のNAが、感染した細胞とHAの結合を切って、複製されたウイルスを遊離させ新たな細胞へ感染を拡大させます。このようにしてインフルエンザウイルスは感染し増殖します。

■歯周病菌がウイルスの活性化を促進
歯周病菌がもつタンパク分解酵素は上述したウイルスのHAに作用してウイルスを活性化させ、インフルエンザにかかりやすくなります。さらにインフルエンザ単独での細胞への感染よりも、歯周病菌が加わった場合の方が感染が拡大することが分かっています。

また、歯垢に棲みつく歯周病菌は、抗生物質などの薬や体の免疫細胞でも撃退することができません。歯周病菌は、歯垢ごと歯みがきで除去するしかありません。

この歯周病菌を除去して、インフルエンザを予防するためにも日頃からお口の中を清潔に保つことがとても重要です。

実際に、介護施設で歯科衛生士からお口のケアを受けていた場合、インフルエンザの発症率が大幅に減少した、というデータもあります。また、特に寝たきりの高齢者の方は、インフルエンザの合併症である肺炎を防ぐためにもお口のケアは重要です。

日本歯科医師会

 

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